相続担当スタッフブログ

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2016.10.30更新

前回、誰でも出来る簡単な相続対策として、生前贈与による相続対策を紹介しました。
 今回は、その生前対策を実行するに当たっての注意点を、説明いたします。

注意点その①
 「効果が出るまでに時間がかかること」及び「相続開始前3年以内の贈与財産の加算」

 贈与税の税率は相続税の税率より高くなっています。その為、低い税率で行うためには贈与する回数を多くしなければ効果はありません。従って、贈与する相手が少ない場合は贈与する年数を多くしなければなりません。前回の例示の場合も10年と長い年月を必要としています。短い年月で効果を上げようとするには、多くの人に贈与する方法になります。例えば子供以外に孫にも贈与する等が考えられます。また相続人に贈与した場合は、相続開始前3年前の贈与財産は相続税の課税財産に加算されてしまいます。計画的な贈与が必要です。

注意点その② 不動産の贈与の場合

 現預金があれば簡単に贈与できますが、不動産の場合は登記費用・登録免許税・不動産取得税等費用が相続の場合より多くかかります。
贈与の場合 登録免許税 固定資産税評価額の 2.0% 取得税 3%
相続の場合 登録免許税 0.4% 取得税 非課税(相続人の場合)

 例えば、固定資産税評価額2000万円の土地を贈与した場合には、登録免許税40万円・取得税60万円と司法書士の報酬がかかります。でも相続の場合は、8万円の登録免許税と司法書士の報酬ですみます。大きな差が出ます。

 不動産を何年かにかけて名義を変えていく場合は、これら費用と節税額の効果の比較が必要です。

注意点その③ 一番の問題は、「あげたつもり!!」の場合が多い

 生前贈与は相続税の節税に効果があると言うことで、実行する方が多くいますが、そこには大きな勘違いがあります。たとえば子供名義の通帳を作ってそこに預金を移動しても、本当に贈与したとは言えません。預金には名義預金と言う言葉があります。子供に渡してしまうと使ってしまうから今は親が管理しておこうと考え、通帳の印鑑を親が持っている場合は税務署は名義預金として親の財産として見ます。贈与したとはみてくれません。贈与を認めさせるためは、

  ・贈与証書を作成し、互いに自筆で署名する
  ・通帳と印鑑は贈与された人が管理する
  ・贈与された人が自由に使用することが出来る 等が必要です。

 

注意点その④ 相続人の間でもめる

 特定の子供や孫にだけ贈与すると、相続人の間でもめる場合があります。
 相続財産を多くもらいすぎている相続人に対して、少ししか相続財産をもらっていない相続人が、遺留分(民法の定めによる相続人が相続できる最低限の権利)を返してくださいと言う「遺留分の減殺請求権の行使」を行う場合もあります。

注意点その⑤ 親子関係や子供の将来

 親子関係が悪くなったり、子供や孫の人生を狂わせる場合があります。
贈与を現金で受けると、もらった人は1回目はありがたく思いますが、何年も続くとそれがあたりまえになってしまい、親や祖父母に感謝の念を持たなくなり、逆にもらえないと不満が出る場合があります。また子供の金銭感覚おかしくなったり、働かなくなる場合もあります。

注意点その⑥ 老後の生活資金

 贈与する人の、老後の生活資金まで贈与してしまっては意味がありません。相続税の節税に一生懸命になって自分の生活が出来なくなっては本末転倒です。

 以上のように、色々な問題もありますので十分にこれらのことも検討して実行しましょう。

松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

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