相続担当スタッフブログ

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2015.01.05更新

  あけましておめでとうございます。何とかブログを月1回書くことを続けています。少しでも相続の問題点等を、読者の方々に理解していただければ幸いと思っています。

 毎年、何件かの相続税の申告をしますが、その中の数件が相続争いになっています。

なぜ相続争いが起きるのか!!
 戦前は、家督相続制度があり、長男が家督を継ぐことになっていました。財産の全てを引き継ぐ代わりに親と同居して、親の老後の面倒を看てきました。
 しかし、戦後は法の下の平等を定め、相続も子の法定相続分は全員均等です。両親の介護や家業の手伝い、親孝行など子供の義務を全く果たさなかった子供でも、親の死後、相続する権利は平等と、自分の権利を主張して均等の相続分を請求してきます。
 核家族化でおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に生活をする機会がなくなり、またご先祖様の供養もしなくなった現在、義務を果たさず権利ばかり主張する世の中になってきました。相続を財産がもらえるものとしか考えていません。

 相続は、ご先祖様からの財産の継承で、一時的な預かりと考えるべきです。 従って大切に守っていき次世代の子へ渡さなければなりません。 

 親は相続を、次の世代が考えるものとして放置してはいけません。相続争いが起きないよう、生きてる間に出来ることをしておきます。
 その一つとして遺言書があります。自分の老後の面倒を看てくれる子に、財産を残すよう遺言書を書きます。そして面倒を看ない子たちに、遺留分を放棄するよう言い含めます。できれば、家庭裁判所に行って遺留分の放棄の手続きを法的に進めます。
 遺言書と遺留分の放棄の許可書(家裁が発行)があれば、相続争いは起こりません。

 相続争いが起こってしまいますと、その争いはその後子供の代以降もずっと続いてしまい、その家系はそこで壊れてしまいます。

家が壊れてしまうと、
やがて日本が壊れてしまうのではないかと心配しています。

 松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

2014.11.29更新

 相続を、両親で考えると片方の親が死亡すると1次相続、残りの親が死亡すると2次相続が発生します。一般的には女性の方が長生きですので、普通1次相続は父親で、2次相続は母親となります。そして父親の財産を母親が相続する場合は、配偶者の特例として法定相続分または16,000万円 以下ならば相続税はかかりません。1次相続だけを考えてしまうと母親が多く相続をした場合の方が相続税が少なくなります。しかしその後の母親の2次相続まで計算すると、1次相続で母親が多くを相続した場合の方が1次2次合計の相続税が増えてしまいます。

[例] 課税遺産総額1億円
    相続人は配偶者と子の2人  
       ①は法定相続分(1/2)での分割をした場合
    ②は母親が遺産のすべてを相続した場合

1次相続   基礎控除4200万円(平成27年以降3,000万円+600万円×2人)
 ①法定相続分で分割  1/2  場合
      母親   相続税     0円
      子    相続税   385万円             合計385万円
 ②母親が遺産すべてを相続した場合
   母親   相続税     0円
      子    相続税      0円                0円 有利
     
   母親が亡くなった
2次相続     基礎控除3600万円(相続人は子のみ3,000万円+600万円×1人)
 ①母親が1次相続で1/2取得した場合、 母親の課税遺産総額 5000万円     
   子    相続税   160万円
 ②母親が1次相続で遺産すべてを相続した場合、  母親の課税遺産総額  1億円
      子    相続税   1,220万円

1次相続と2次相続の相続税の合計
①385万円+160万円=545万円  < ②0円+1,220万円=1,220万円
結果として675万円の差が出ます。

2次相続は、以下の点が変わってくることで相続税が増えます。
1.基礎控除が1人分少なくなります。
2.生命保険の非課税枠も1人分少なくなります。
3.小規模宅地等の特例が適用されない場合があります。
    (母親と父親は同居してる場合が多いため小規模宅地の特例の適用がありますが、子はすでに自宅を持っている場合があり、その場合小規模宅地の特例は適用されません)
4.相続した財産だけでなく、母親の財産もプラスされます。

以上のように2次相続に相続税を多く払う場合がありますので、1次相続の分割協議をする時は、2次相続を考えた相続対策が必要です。
 松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

2014.11.22更新

相続税の計算は、プラスの財産(土地、建物、預貯金等)からマイナスの財産(借入金や未払金等の債務、葬儀費用)を引いた正味の遺産額から基礎控除額(今年まで5000万円+法定相続人×1000万円・来年から3000万円+法定相続人×600万円)を控除した金額(課税遺産総額と言います)に対して相続税の税率を掛けて行います。

 
預かり保証金は経済的利益を控除する!!

 この計算の時のマイナスの財産として、建物の賃貸時に預かる保証金・敷金(以下預かり保証金等と言います)があります。居住用の賃貸の多くは契約期間が1~2年ですのでそう問題になりませんが貸店舗等の場合、契約期間が長い場合があります。この場合の預かり保証金等の相続税の評価計算に注意しないといけません。多くの場合この預かり保証金等は無利息で預かります。相続税の評価方法の考え方は、預かり保証金等を無利息で預かると、その利息分の経済的利益を得ているものと考えます。従って預かり保証金等の金額からその経済的利益分を控除した金額が評価額になります。結果マイナスの財産の金額が減ってしまい、課税財産が多くなり、相続税が多くなります。
○具体的な計算式
  保証金等の金額×残存期間に応ずる基準年利率による複利現価率 
  【例】 無利息の保証金 5000万円 賃貸残存期間20年
        5000万円× 0.861 =4305万円
        (平成26年9月の基準年利率0.75%で、その複利現価率は20年で0.861です)
    預かり保証金等の評価が695万円(5000万円-4305万円=695万円)下がり、相続税の課税財産がその分増えたことになります。
 預かり保証金等としてよく話がでるのは、土地を貸し付ける定期借地権の場合の方が多いと思います。土地の貸し付けの場合はこの評価減の計算が必要か注意しましょう。

 建設協力金は割引計算をしない!!

 ただし、貸店舗を賃貸するに当たり、テナントから建設費用の全額または一部を建設協力金として徴収し、工事代金の支払いに充てる場合があります。貸店舗などの場合多く採用されています。建設協力金はテナントへ返済される預かり金ですが、通常は一定期間無利息で据え置き、その後長期に分割返済されます。
 預かり保証金等と似ていますが、この建設協力金は無利息でも相続税の評価は全額債務として控除できます。この違いは、建設協力金を入れた場合通常の家賃より家賃が低く設定され、無利息による経済的利益が家賃を低くすることで相殺されていると考えます。預かり保証金等の相続税評価のような割引計算はなく全額債務として控除されます。

貸店舗の預かり保証金等や定期借地権の預かり保証金等の相続税評価には、評価減の計算がある場合がありますので十分注意しましょう。
松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

2014.10.22更新

 相続というと、土地や現金を相続するイメージが強いですが、亡くなられた方に借入金がある場合も多いです。プラスの財産だけを相続できればいいのですが、世の中そんなうまい話はなく、当然マイナスの財産の相続しなければなりません。
 明らかに借入金がプラスの財産より多い場合は、相続人は相続の放棄の選択が検討されます。
 また、プラスの財産とマイナスの財産がどちらが多いか不明な場合は、限定承認が検討されます。限定承認とは、プラスの財産の範囲内で、マイナスの財産を引き継ぎます。ただし、この限定承認を受けるためには相続人全員で行わなければならなく、1人でも反対する人がいる場合は受けることができません。

 相続放棄も限定承認も、相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申立をする必要があります。

注意1.借入金のある相続を相続放棄した場合

 相続放棄をした場合に注意しなければいけないことは、相続放棄をすると次の相続順位の相続人にその借入金が引き継がれることになります。
 例えば、借入金が多額ということで配偶者・子が相続放棄をすると次の相続順位の故人の親が相続することになります。また親が亡くなっていると故人の兄弟が相続することになります。
 兄弟が亡くなっていると、その兄弟の子(甥・姪)が相続することになります。叔父さんのお葬式に参列した後、数ヶ月後に借入金が廻ってくるということがあるのです。
 従って、借入金が多い場合に相続放棄をするときは、推定される相続人全員で相続放棄をしないと大変なことになります。
 

注意2.借入金を分割協議書で相続する場合
 
 

 相続人が複数いる場合、分割協議書を作成します。分割協議書で誰が何を相続するか相続人で話し合い決定するのですが、ここに大きな勘違いがあります。
 分割協議書に、借入金はすべて長男が相続すると書いてあるからと安心してますと、後から他の兄弟に銀行からこの借入金を返済してくださいと督促を受けることがあります。
 これは分割協議書にいくら借入金は誰々が相続すると書いてあっても、その債権者(銀行)に対して対抗できないということです。従って銀行が長男が引き継ぐことを承認しなければ、他の相続人にも請求できることになります。
 このようなことがおこらないようにするためには、債権者である銀行に承認を得る必要があります。
 
 

 借入金が相続財産にある場合は、以上のようなことに十分注意して相続しましょう。
                                                                          松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

2014.10.03更新

相続税の節税対策として、生命保険を使った方法がよく話に出てきます。

 相続税には、契約者と被保険者が同一の契約で、死亡保険金が相続人に支払われ場合
500万円×法定相続人数の非課税枠があります。仮に現金5000万円ある場合は5000万円すべてが相続税の課税対象ですが、法定相続人4人いる方が2000万円の生命保険に加入しますと課税対象は3000万円になり2000万円の課税所得の節税になります。
 だいぶ浸透している話なので、よく使われているの方法なのですが、実際私の担当した相続税の申告では多くの方が生命保険に加入していませんでした。よく見てみますと亡くなられた方が80歳以上のお年寄りの方で、過去には加入していたのですが、すでに満期がきており生命保険が終了していました。過去の多くの生命保険が70歳から80歳までで終了するタイプが多く無保険になっている方が多かったです。
 高齢の方に相続税の節税を話をするときに、生命保険の加入が難しいとして生命保険を使った節税の話はしなかったのですが、最近90歳まで加入できる生命保険がいろんな生命保険会社からでています。これは使えます。

さらなるメリット

1.流動性資金の確保
   相続財産の現預金は、遺産分割協議書ができないと使うことができません。一方この生命保険は保険金の受取人が保険金請求をすればすぐにお金になります。

2.受取人を指定できる
      生命保険は、契約者が死亡保険金の受取人をあらかじめ指定することが出来ます。
    遺言書で被相続人の財産の分け方を指定することも出来ますが、手続きが面倒です。
    生命保険であれば、簡単に希望どおり分けることが出来ます。また、分割協議書での分割は時間がかかります。
   
*注意点
 保険の中には10年ぐらいまでに解約した場合は、元本割れすることがあります。

   松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

2014.07.25更新

最近読んだ雑誌に、単身世帯が急増する特集が載っていました。

「おひとりさま」が急増しています。

 2010年現在、全国の単身世帯数は1679万世帯、総人口の13%、全世帯数の32%も占めています。「標準世帯」(夫婦と子供からなる世帯)が全世帯数に占める割合は28%なので単身世帯の方が現在多くなっています。これが2030年になるとさらに単身世帯が増加し全世帯数の37%を占めると予測されています。さらに、驚くべきことは単身世帯が増える年代が2030年では男性の50代60代と言うことです。その大きな原因が、男性の未婚化です。一度も結婚しない人の割合を「生涯未婚率」と言いますが、男性の生涯未婚率は1985年までは1~3%で推移した後、1990年以降急激に上昇し2010年には20.1%なっています。それが2030年には27.6%と予測されています。私の会計事務所の若い男性も独身が2人いますし、関与先にも独身の社長が何人かいます。
 少子化が大きな社会問題になっていますが、子供が少なくなって、さらに結婚しなくなると日本はどうなるのでしょうか。
 
 平成27年から相続税が大きく変わります。とくに大きくかわるものが基礎控除です。今までは5000万円+法定相続人1人に付き1000万円の基礎控除でしたが、これが3000万円+法定相続人1人に付き600万円になります。年間死亡者に対する課税割合が改正前4.1%だったのが6%になると言われています。また都市部ですと10%を超えるそうです。
 これに加えて、少子化により基礎控除が減少(例えば、配偶者と子供3人の場合は5400万円の基礎控除がありますが、少子化により配偶者と子供1人ですと4200万円に減ってしまいます)します。
 結婚しないと、配偶者や子供はいません。ましてや少子化で兄弟もいないとなるとその財産は最終的には、国に帰属することになります。(2013年12月ブログ「相続人がいないとき」参考)
 こんなことを考えてブログを書いていた時、家内が「そんな時代になれば、みんな財産を残しても仕方がないから使い切って死んでいくから、かえって景気が良くなるのでは?」って言いました。はたしてどんな時代が来るのやら!!

 でも確実に言えることは、家族がなくなると、家がなくなりやがて国がなくなると。

                                                                      松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

2014.06.25更新

先日、「遺言書で遺言執行者が不動産を売却して、その代金から諸経費を差し引いた残額をXに遺贈する」という遺言の案件があり、その税金について、所長から調べるよう指示がありました。
 このような遺贈(上記のような、相続財産を売却したうえで、売却代金を相続人または第三者に遺贈する旨の遺言)を、精算型遺贈と言います。この手続きの流れは遺言執行者が単独で行えるのですが、形式上は一旦不動産の所有権を法定相続人に移転し、遺言執行者が法定相続人の代理人として売却行為を行います。
 従って法定相続人名義の売却になりますから、法定相続人に所得税の譲渡税がかかります。遺言執行者は財産の分配をするのに、諸経費を引いた後の金額をするのですが、この諸経費の中に譲渡税が入りますので遺言執行者は譲渡税の納税時期まで譲渡税分をしっかり管理しておく必要があります。
 また、このとき相続人がいない場合(もともといない場合や相続人が死亡している場合など)はどうなるかと言いますと、相続人不存在による相続財産法人名義への登記名義人氏名変更を行った上で、買主への売却手続きを行います。本来は相続財産法人名義への変更登記は、相続財産管理人を選任した後に相続財産管理人により行われますが、この場合はその選任をすることなく行うことができます。そして相続財産法人は法人税の納税義務を負わないため、売却による法人税はかかりません。

 
相続税の申告が必要か?

 相続税は、相続や遺贈によって取得した財産に課税されます。従って精算型遺贈で取得した財産も相続税の課税対象になります。
 ここで注意しなければいけないことは、被相続人から相続人が遺贈により財産を取得した場合には、相続税の債務控除、未成年者控除、障害者控除、さらに山林の立木に関して85%評価の規定を受けることができますが、特定遺贈(注)により財産を取得した人が被相続人の相続人に該当しない人である場合は、これらの控除を受けることができないほか、相続税額に20%加算されることもあります。

(注)遺贈とは、遺言により被相続人の財産を相続人や第三者等に無償贈与することを言います。そしてその遺贈には、包括遺贈と特定遺贈があります。
 包括遺贈とは、遺産の全部または一定の割合で指定して行う遺贈のことを言います。
 特定遺贈とは、遺産の内一部の財産を指定して行う遺贈のことを言います。
松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

2014.05.20更新

先日、相続の相談に来られた方の話ですが、お母さんが少し認知症になっているとのことでした。そこで今回は相続人の中に認知症の方がいる場合の相続の流れ及び注意点等をお話しします。

 もし、相続人の中に認知症の方がいる場合、その方は判断能力がないとみなされますので、遺産分割を行うことができません。だからと言って、認知症の方を除いて遺産分割協議書を作ることはできません。

そこで、成年後見人を立てる必要があります。

 この成年後見人を立てるためには、まず、家庭裁判所に医者による認知症患者の診断書や鑑定書を添付して成年後見人を立てる手続きを行います。家庭裁判所によってそれが認定されれば、成年後見人を選任します。
 遺産分割は、認知症だからと言って少なくなることはなく、法定相続分は確保されます。
法定相続分未満は認められません。従って、このような相続の場合は必ず認知症の方の法定相続分を確保する分割協議書を作成しなければなりません。十分注意してください。

 この成年後見人には、一般的に親族がなる場合が多いですが、この親族も相続人の場合には、利害が相反するために後見人になることはできません。その場合には、遺産分割協議を行うための特別代理人の選任の申立てが必要になります。
 また、成年後見人になった方は、遺産分割協議が終わればその役割を終えるのではなく、遺産分割後も財産管理をしなければならず、後見人をやめることができるのは、家庭裁判所が許可した場合のみです。一度、成年後見人となったら、それなりの責任が伴いますので、注意が必要です。
 では、成年後見人の選任に困ったらどうしたらよいのでしょうか?そのような場合、税理士・弁護士などの専門家が後見人になることができます。

認知症の方がいる場合の対策

 認知症の方がいる場合、後に相続が開始したとき、遺産分割協議を適切に行うには上記のとおリ手続きに大変手間がかかり、相続人の負担は増えます。
 そこで、認知症の方がいる場合には、相続人の負担を減らすために、遺言書を作成しておく方法が有効です。遺言書があると遺産分割協議をすることなく、遺言書のとおりに遺産を分割することができます。
 たとえば、認知症の方の面倒を見てもらうことを条件に遺贈をする、負担付遺贈をすることもできます。 認知症の方がいる場合には、心身ともご健康なうちに、遺言書の活用をぜひご検討してみてください。
松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

2014.04.21更新

赤字会社のオーナーのほとんどは、会社に対して貸付金があります。この貸付金はおそらく返済されない貸付金です。実質的には返済されない貸付金は価値はないと思います。しかし、相続税の評価ですと、それはあくまでも貸付金として額面道理の評価額になってしまいます。そして相続税がかかる人は相続税がその分多くなります。
 仮に会社に対し5000万円の貸付金があり相続税率20%の場合、貸付金5000万円では、相続税1000万円になります。返済見込みのない貸付金で相続税が1000万円の負担になります。
 このような無駄な相続税を払わない対策を考えてみました。

1.債権放棄
方法 貸付金を書面により放棄し、取締役会での議事録を作成します。
          注)確定日付等で放棄した事実を確定する
         
    メリット
    ①手続きが簡単
    ②費用が安い
    ③係る期間が短い
   
   デメリット
  ①会社にとって債務免除益が発生する為、繰越欠損金がある場合は問題ありませんが、繰  越欠損がない場合や、債務免除額が繰越欠損額より多い場合は法人税が発生します。
    ②みなし贈与税が発生する場合があります。(債務免除により会社の株価が増加した場合)

2.会社に対する借入金を資本金に振替(増資)えて、その後減資する。
  資本の増減資をすることにより、債務免除益のように損益取引にさせず、資本取引にすることで、 法人税の課税関係を無くすと共に、会社に対する貸付債権をも消滅させて、相続税も無くす対策  です。

方法 会社に対する借入金を現物出資する(登記が必要)
   資本金の減資手続きをする(無償減資・登記が必要)
     
 メリット
    ①会社にとっては債務免除益が発生しないので、繰越欠損金がない場合等でも納税が発生しない。
      
   デメリット
    ①手続きが煩雑で面倒
  ②費用が高い(司法書士50万円位・税理士30万円位)
    ③手続き期間が長い(2ヶ月以上)
      増資と減資が同じ会計期間に終了しない場合、一時的に法人市県民税の均等割が上がる
  ④会社の株式の評価によっては、贈与税が生じる場合がある
    ⑤この方法は現物出資になる為、借入金の時価評価をしなければならず、債務消滅益が発生する  場合がある   (会社にとっては1の債権放棄と変わらない結果になる)
    
    ⑤の対策としては、以下の方法が考えられます
  イ.役員が個人で銀行から増資分を借入れる
  ロ.現金増資を実行する
  ハ.会社は払込まれた資金で借入金を返済する
  ニ.役員は銀行に返済する                                    
    この場合は、現物出資ではなく実際の現金で増資する為、時価で評価する必要がありません。
  その為債務消滅益は発生しません。
  また、個人で借入できない場合は、資金対策が必要となります。

  繰越欠損金が大きい場合は、債務免除が簡単で手っ取り早いと思いますが、繰越欠損金がない場合は資本金に振替える方法がいいと思います。どちらにしても、それ以外にいろいろな問題が発生する場合がありますので税理士によく相談してから実行しましょう。
松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

2014.03.20更新

先日、私のお客様のお母様が亡くなりました。お父様はすでに亡くなっており、その時に兄弟全員が納得する相続が行われて、今回の相続は全てご長男が引き継ぐことになっていました。分轄協議書を作成して全員にサインをもらうのも面倒と言うことで、他の兄弟全員に相続放棄の手続きをしてもらうよう進めていました。でも時間がないし、何かほかに方法がないか考えてみました。そうだ、相続放棄より特別受益のほうが簡単で手間がかからないと思いつき特別受益証明書を兄弟の皆様から頂くことにしました。

 と言うことで、今回は、遺産分割協議書を作成せず相続登記をする方法として、相続放棄と特別受益の話をします。

特別受益とは
 相続人の中に、生前財産の贈与を受けた人がいると、同じように相続財産を分けると不公平が発生します。この不公平の利益を特別受益と言います。従って、このような場合の相続財産の計算には、その特別受益を含めて計算します。

 相続人に特別受益証明書(「自分は相続分相当額の財産贈与を受けているので相続分はありません」といった相続人の意思表示を書面にしたもの)を出してもらいますと、簡単に相続登記ができます。しかし相続人であることには変わりがないので、後で借金があった場合、債権者から取立を受ける場合があります。従って、確実に借金が無い場合に限ります。

相続放棄とは
 亡くなった方の財産だけでなく借金も含めすべて相続しないことです。裁判所に相続放棄の申述書を提出し、裁判所が審理して決定されます。手間と費用がかかりますが、後で借金が見つかっても、その督促から免れることが出来ます。しかし、初めから相続人ではなかったことになるので法定相続人の相続順位が次の人になり、逆に相続が複雑になる場合もあります。(例えば配偶者と子1人の場合で子が相続放棄してしまうと次の法定相続人の親が相続人になります)

 相続放棄と特別受益、どちらもメリット、デメリットがありますので、十分検討してうまく使いましょう。
松井 稔幸
 

投稿者: 税理士法人あけぼの

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